みんな大好き楽天経済圏!
食料品、飲料、化粧品、日用品、電気製品、ゲーム、本、さらにはふるさと納税をしたときにも大量のポイントを還元してもらえるのは、楽天という企業がある程度儲かっているからこそ。
ということで、最初に好条件でお客様を集客しておいて、ドンドン改悪されていく楽天のサービスですが、決算の状況を確認することである程度、今後の見通しが見えたりしないかな?ということで、決算の内容を見ていきたいと思います。
今回確認する資料は下記の2点になります。
・2020年度1Q決算短信
・2020年度1Q決算説明会資料
詳細を確認したい方は、上記のURLからダウンロードできるので見てみてください。
楽天 2020年度1Q 決算概況
1Q決算短信
まずは、2020年度1Qの概況からです。決算短信の先頭のページをどうぞ。
売上は20%弱成長していますが、営業利益が1,400億弱減少しています。営業利益以下は全てマイナスということで、赤字に転落しています。
ぱっと見、あまりよくなさそうな感じがしますが、これだけだとよくわからないので、決算説明会資料の方に飛んで、全体がわかりそうな資料を確認します。
各サービスへの新型コロナウイルスの影響(4月)
ポジティブ、ネガティブ、ニュートラルの区別で、新型コロナウイルスの影響が楽天の各事業にどのようなインパクトを与えているか?というのを表しています。
ここでいう、GMSとは 【Gross Merchandise Sales】を指しており、流通取引総額のことです。
なので、GMS↑となっている個所は、『取引量めっちゃ増えたよ!』という意味ですね。
このデータ自体は、4月のものなので1Q決算には関係ないですが、2Q以降の業績に影響してくる個所だと思います。全体として、外出自粛の影響でEC関連は取引量が増加しており、リアルな人の移動が大きく影響する楽天トラベル、スポーツあたりがマイナス、というのは感覚的にも理解できるところです。
営業利益の変動内容詳細
決算説明資料でよく見かける、この棒グラフを横に並べて変動理由を説明していく図ですが、こちらウォーターフォールチャートといいます。項目別の影響を可視化しやすいですよね。
上記グラフの注意点なのですが、右上の単位を見ると十億円となっています。非常にややこしいと思いますが、一番左にある118.0というのは、これに10億円を乗じることになるので、1,180億円を表しています。
気づく方は気づくかもしれませんが、一番最初に貼ったキャプチャの2019年1Qの数値は1,180億円ではないんですよね。これも理由があって、一番最初に貼ったのは決算短信で、IFRS(=国際会計基準)という会計基準に則ったもので、上記の1,180億円はNon-GAAPという別の基準に則ったものになります。決算説明資料上はNon-GAAP基準で説明されているので、私もその数値で説明していきます。
前置きが長くなりましたが、前期の1Qから大きく利益が減っている理由としては、前期の営業利益に投資事業の利益1,126億円が含まれているから、というのが主な理由となります。
数値が大きく悪化していると、今期何か特別悪いことがあったのかな?と考えがちですが、意外と前期に特殊要因があった、というケースも多いので注意が必要ですね。
で、特殊要因を除くと、前期1Qの営業利益が53億円。既存のEC等は順調で前期よりも伸びたが、今期はモバイルの赤字が約250億円増えたので、この影響で全社の営業利益が赤字になったようです。
次から、各セグメント毎に見ていきたいと思います。
インターネットサービス セグメント
インターネットサービスセグメントは特筆すべき事項はなさそうです。
売上は、10%超成長していますが、利益が減少しています。内訳は下表のとおりですが、物流関連への投資が前期比30億程度増となったことが要因のようです。
フィンテック セグメント
フィンテックセグメント概況
フィンテックセグメントは総じて好調で、全体サマリーは下表のとおりとなっています。
この資料本当に見づらい。。。なんで全体の単位は10億円なのに、前年同期比の欄には億円単位にするのか?
ちょっと愚痴ってしまいましたが、セグメント全体で見ても、売上が20%超成長、利益も15%弱の成長と申し分ないです。ところどころ前期比で凹んでいるサービスもありますが、全体としては右肩上がりで成長しています。
楽天カード (リボ残高等)
で、私が今回の決算説明資料の中で最も衝撃を受けたのが次のスライドです。
楽天カードにおける、ショッピングリボ及びキャッシングの残高推移になります。順調に右肩上がりで推移しているのですが、その金額規模に驚きました!
20年1Q末時点のリボ残高が6,349億円、キャッシング残高が1,415億円、合計で7,764億円となっています。
ざっくりとした計算にはなりますが、リボの年率が15%なので、7,764億円×15%=1,164億円となり、これが年間の利息収入になります。四半期で4分の1計算だと、1,164億円÷4=291億円になります。1Qの楽天カードの売上収益が633億円となっていたので、楽天カードの収益のうち45%はリボやキャッシングからの利息、という計算が成り立ちそうです。
もちろん回収にあたっての費用や、貸倒も一部では発生していると思いますが、それを加味してもすごい収益性ですね。新型コロナウイルスの影響で、支払の繰延需要は高まると考えられるので、2Q以降も更に残高が増加して、収益貢献することになりそうです。
楽天証券口座
楽天証券の口座数は、今回のコロナショックが大量の新規ユーザーを呼び込んだようです。四半期ベースの新規口座数が過去最高を達成。資産運用を始める人が増えるというのは、いいことですね。
こちらは、楽天証券の積立投信口座数の増加推移。20年3月末時点で、59万口座が積立設定を行っているようです。また、楽天カード決済利用口座も大きく増やしており、おそらく35万口座程度でしょうか。なんとなく、+95.2%と+238.3%の数値、記載する場所が逆では?という気もしますが、特に問い合わせる気もないので、全体的に増えてるな、という印象がつかめればOKです。
モバイル セグメント
モバイルセグメント 利益詳細
すごい勢いで赤字が増加していってますね。初期投資があまりにも重たいので、参入障壁が高いという業界なので、当然といえば当然なのですが。
考えないといけないのは、楽天モバイルの正式なスタートは4月8日なので、この1Qの決算には織り込まれていません。4月8日からの正式スタート後会員数が300万人に達するまでは月額無料なので、2021年の2Qまではほぼ収益を生まないんですよね。そのため2Q以降は一気に売上収益が減少し、営業利益の赤字幅も拡大するものと考えられます。
どこまで拡大するかは予想できませんが、とにかく2020年度のモバイルセグメントの損益は相当厳しいものとなるでしょう。
まとめ
前期から大きく営業利益が減少していたのは、
・前期、投資事業で1,000億をこえる利益を計上していた
・モバイル事業が積極投資により前期比250億円程度のマイナスとなった
という2点が影響していました。
モバイル事業は、1年間無料を謳い文句に顧客を集めている段階なので、今後1年間は赤字が膨らんでいくと考えられます。
そうなると、既に楽天ROOM等では毎月のようにルールが改悪されていっていますが、他のサービスでも同様に、サービス改悪が発生する可能性は高そうです。
楽天経済圏は非常に使い勝手がよく、効率も良いので重宝していますが、あまりに改悪が続くようだとどこかで撤退も視野に入れることとなりそうです。
個人的な楽天経済圏の撤退ラインとして現在考えられるのは、下記の項目です。
・楽天ゴールドカードのSPU2倍が廃止
・楽天PAYによる、期間限定ポイント利用の廃止
・楽天ふるさと納税でのポイント付与廃止
さすがに一気に来ることは無いと思いますが、楽天はここ1,2年が本当に踏ん張りどころだと思うので、ポイント付与、利用周りのサービス改悪は大いにあり得るところだと思います。
損切りに近いのかもしれませんが、これが無くなったら楽天経済圏から離脱する!という自分の中での重要ポイントは整理しておくと良いかもしれません。
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