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【決算分析】ブリヂストン 2020年1Q【減配の可能性有り?】

個別株(優待株・高配当株含む)

ブリヂストンの2020年度1Q決算が発表されました。毎日適時開示はざっと眺めるようにしているのですが、各企業が決算を延期するケースが多く、どの企業が決算発表済んでいるのかよくわかりません。

今まで、決算分析の記事を上げたことはありませんでしたが、一応過去の本業部分でもあるので、興味が出たものについては、これから簡単に解説する機会を作りたいと思います。

ブリヂストンについては、高配当かつ財務優良の大型株として有名ですが、それ以外にも社名の由来が非常に有名ですよね。

それにしても ヂ って、ほとんど使わなくないですかね?タイピングする時いつも 間違えて『ぶりじすとん』と打ち込むので、部理事ストン とかって、変換されて困ります笑

ヂを使うのは、他だと三菱系のビルヂングぐらいでしょうか。

 

まぁ、こんな話はさておき、5月11日に決算発表した中で目に留まったので、記事にしてみたいと思います。

いくつかの資料を引用していますが、全てのは下記の3つの資料のいずれかからの引用となります。

2019年度末決算短信

2020年度第1四半期決算短信

決算説明スライド

念のため、自分のポジションの有無について記載しておくと、ブリヂストン株は保有していません。保有していない分、ちょっと辛口な内容かもしれませんが、ご容赦ください。

結論

結論ファーストで行きます!

2020年度の配当は160円から減配されることになると思います。ホルダーの方には申し訳ないのですが、あくまでも私見ですので、そんな意見の人間もいるんだな、ということで見ていただければと思います。

もちろんいくつかの根拠はあるので、それについて記載をしていきたいと思います。

理由① 新型コロナの影響による業績悪化

2020年12月期の業績予想(2020年2月17日時点)

大前提として、2019年度末の決算短信発表時に公表した2020年度の業績予想は以下のとおりです。記載個所は、2019年度末決算短信の最初のページにあります。

2019年度末決算短信 先頭ページ

この業績予想が公表されたのは、2020年2月17日であり、新型コロナウイルスの感染は拡がりつつありましたが、欧米のロックダウンも起こっておらず、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う世界的な経済活動の停滞の影響は織り込まれていません。

その織り込まれていない前提での業績予想が、ほぼ2019年12月期から横ばい、という内容でした。

2020年第1四半期の業績

全体の概況

2020年度1Q短信 先頭ページ

5月11日に公表された2020年度第1四半期決算短信の数値は上表のとおりです。

主な注目点としては、

・1Qの営業利益は前年同期比で約50%減少。

・先の見通しが不明確なので、2020年12月期の業績予想を取り下げ「未定」に

・2020年12月期の配当については、期初予想(=年間160円)を変更しない

の3点です。

業績予想は取り下げたが、配当は取り下げていない、という点を考えると、現時点では何とか配当を維持したいという経営陣の思いも透けて見えるようですが、如何せん今回は第1四半期の決算発表なので、今回配当予想を変更しなかった=第2四半期において確実に配当が支払われるということにはなりません。

1Q業績の会社説明

前年同期比で営業利益が約50%減少したという点についての会社説明はこのような内容です。

決算説明スライド 4ページ目

世界中で経済活動が大きく停滞し、自動車の生産台数、稼働率低下等々により、タイヤ需要が減少とあります。在庫もあるので販売と生産が必ずしもリンクするわけではないですが、工場の稼働状況を見る限りでは、第1四半期よりも第2四半期の方が影響が大きそうです。

アメリカのロックダウンがNY州で始まったのが、3月22日でした。イタリアは3月9日から、ドイツは3月22日から。ロックダウンを境に需要が激減したわけではないと思いますが、3月に入ってから経済が大きく停滞していることを踏まえると、第1四半期においては、比較的正常に生産、販売が行えていたのが2ヵ月(1月と2月)、大きく影響を受けたのが1ヵ月(3月)と考えられます。

一方で、経済活動再開の兆しはあるものの、第2四半期において、2ヵ月(4月と5月)は大きく影響を受けており、残りの1ヵ月(6月)は不明という状況です。最も楽観的に考えて、仮に6月に正常稼働へ戻ったとしても、ブリヂストンの第2四半期は、第1四半期よりも業績が悪化すると推測されます。

仮に6月以降経済が正常稼働に戻ったとしても、年間で見たときに3月~5月の落ち込みをカバーするというのは現実的に厳しいでしょう。

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理由② キャッシュオリエンテッドな視点でのC/F強化

ちょっと何言ってるのかわからないかもしれませんが、私も初めて見ました。キャッシュオリエンテッド。この単語が決算説明スライドに出てきます。該当ページがこちらです。

決算説明スライド 5ページ目

ちなみに、「キャッシュオリエンテッド」とググっても全く出てきません。オリエンテッドって結構メジャーな言葉でしょうか??

調べてみると、【~志向の、重視した】ということで、『キャッシュを重視する視点での更なるキャッシュフロー強化』という意味になりそうです。

大事なことなので2回言いました!的な感じでしょうか。とにかくキャッシュを重視するぞ、という強い決意が感じられます。

その次のページがこちらになります。上部の2019年の財務体質については、ほぼ見ても意味がありません。コロナ前の情報なので。

決算説明スライド 7ページ目

2020年資金政策として、3点記載があります。短期運転資金の調達については、借入を実施とあるので、おそらく実行済みでしょう。下の2つについては、これから実行するのだと思いますが、枠を拡張しているということです。いずれも他人資本の調達となり、有利子負債に該当します。

このキャッシュオリエンテッドの指し示すところは、キャッシュを重視する、資金の調達もそうだし、資金流出の削減も含まれるのではと考えています。(ここは私の推測)

ちなみに、以下が決算説明スライドの最後を飾る通期業績予想の個所です。

【タイヤ需要が2月発表時の計画前提から大きく減少】、【回復速度が見通せない】【未曽有の危機】といった悲観的なワードが並びます。そして【キャッシュオリエンテッド】も出てきます。とにかく流動性を高めて、危機対応をしていく、と。

決算短信において、配当予想は修正されませんでしたが、決算説明スライドにおいて、配当という文字は1度も出てきません。本当に配当を確定的に出すつもりがあれば、配当を維持する旨、強調するところだと思うんですよね。出したいけど、厳しいだろうな、という経営陣の心の内が透けて見えるようです。

決算説明スライド 16,17ページ目

理由③ 会社の配当方針

ブリヂストンが公表している配当方針は下図のとおりです。

2019年度末決算短信 6ページ目

連結の配当性向20%~40%を目安、と記載があります。

2018年12月期~2020年12月期の3か年推移は下記の通りとなっていて、2020年12月期の配当性向は49.0%と、当初の業績予想ベースでも既に目安の配当性向を超過していたことになります。

2019年度末決算短信 先頭ページ

期初の時点で既に、配当性向の会社方針から逸脱しているものの、10%程度であれば、頑張って配当を維持しました、という説明がつきそうです。ただ、配当性向が50%を超えてくると乖離が大きすぎるので、配当を維持する場合には、そもそもの配当性向の方針変更が必要となりそうですが、そこまでして配当を維持するでしょうか?

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理由①から③のまとめ

2020年通期業績は?

会社側が見通せないものを正確に予想するのは困難ですが、ある程度ざっくりであれば算出可能と考えます。

第1四半期の営業利益は、前年同期比で約50%減でした。また、純利益については約200億円と前年同期比で約65%減でした。純利益は営業利益以上にいろんな項目の影響を受けるものの、理由①の個所で記載した通り、第2四半期は第1四半期以上に業績が落ち込むと考えられるため、第2四半期時点では赤字になっていてもおかしくないと考えます。

仮に第3四半期以降が前年並みに回復(=これも相当楽観的な想定と思いますが)したとして、通期の当期純利益は1,000億円程度で打ち止めではないでしょうか。第2四半期までの累計がほぼプラマイゼロで、第3四半期以降で、1,000億円の当期純利益(=昨年の3,4Q並)を計上したという想定。

2020年の配当を予想すると?

ブリヂストンの発行済株式数(自己株式控除後)は約7億株です。

そのため、2020年12月期通期の当期純利益が1,000億円になった場合、1株当たり利益は約140円となります。

単純に、配当性向を40%を上限とすると、年間配当は56円となります。

ここまでの減配がなされるかはわかりませんが、2020年12月期における年間配当金160円から大きく減配されると考えます。

配当が維持されるとすれば、今期に限って配当方針を変更する場合ですが、世界的にみて融資で資金を調達する際に、配当や自己株買いが制限されるケースも多いようで、長期的な業績回復のためには、今期減配の方が良さそうに見えます。

最後に

ホルダーの方からすると、ふざけんな!という内容だったかもしれませんが、今確認可能な開示資料から導出したつもりです。私の推測も多分に含まれていますが。

2020年の年間配当金は減配となる可能性が高い、というのが結論ですが、これが株価にどのように作用するかはわかりません。そのため、ホルダーの方に売却した方がいいです、と言うつもりもありませんし、購入するか迷っている方に今は辞めた方がいいです、と言うつもりもありません。

仮に減配することになったとしても、株価はかなり先の未来まで織り込むので、需要が回復し業績がもとに戻ると市場が判断すれば、株価が上昇する可能性もあると思います。

現在業績予想が取り下げられていますが、将来の不確実性が後退すれば、改めて業績予想が公表されることになるでしょう。もし、この業績予想の公表が6月もしくは7月になされるようであれば、その時に合わせて減配も公表されるのでは?と考えています。

もしくは、中間配当は一度変更なく来たので、中間配当は頑張って出すが、期末配当を未定にする等、パターンはいくつかあると思いますが、最終的な年間の配当で見た場合には、160円に満たない金額になっていると思います。

個人的には自信があるのですが、答え合わせは1ヵ月以上先になりそうですね。

その時にまた振り返りたいと思います。

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