ふるさと納税制度について、特に楽天のふるさと納税がお得だ!ということで、ツイッターのタイムラインを賑わせています。
私も2016年頃からふるさと納税を行っていて、色んな返礼品に大変お世話になっています。おそらく、これからふるさと納税に取り組まれる方もいらっしゃるでしょうし、ちょうど楽天お買い物マラソンが始まるタイミングなので、この期間中に買いまわろうと考えている方も多いと思うので、ふるさと納税の落とし穴、注意点について、説明していきたいと思います。
特に楽天でのふるさと納税に限定した話ではなく、他のふるさとチョイスやさとふる等を利用している方にも当てはまる話です。
特に、ふるさと納税の詳細は知らないけど、なんとなくやってるという方には参考になる点があるかと思います。
長くなりそうなので、目次から気になる箇所に飛んでみてください。
本記事内でいくつかキャプチャ画像を貼っていますが、出展元はこちらの資料になります。
総務省がふるさと納税について取りまとめた資料で、2019年8月2日付の資料になっています。対象年度は2018年度までなので、泉佐野市がふるさと納税制度の頂点に君臨していた時代ですね。懐かしい。
項目が多いので、全部読むのが面倒だという方は、 目次から興味のある箇所に飛んでもらうと早いです。
全部お読みいただける方は、順番にどうぞ!
ふるさと納税の概要
全体像
ふるさと納税とは、任意の自治体に寄付を行うことで、寄付した金額分を今住んでいる年へ支払う住民税等から控除できる制度です。(ただし、控除できる金額の上限あり)。
例えば、A市に住んでいる人が、B市へ1万円の寄付を行うと、A市に支払う住民税が1万円控除されます。2,000円を超えた部分に限るので、この例のみの寄付だと、8,000円が控除されます。
で、この制度だけだと誰も他の自治体に寄付しないので、各自治体が返礼品として寄付の見返りを提供しています(提供していない都市もあります)。
ふるさと納税制度の金額推移
おそらくふるさと納税を利用しているかどうかは別として、その制度の認知度は相当程度向上していると思います。認知度の向上とともに、制度の利用金額も年々増加しています。
ふるさと納税として寄付された金額の合計は、5,000億円を超えており、その受け入れ件数も2,300万件を超えています。一人あたり平均5件のふるさと納税を行ったと仮定すると、400万人超がふるさと納税を実施しているということになります。
ふるさと納税の落とし穴、注意点
ふるさと納税の注意点は多岐にわたるのですが、以下記載していきます。
対象年度の所得が12月まで確定しない
内容
まずふるさと納税の大前提として、所得に応じて戻ってくる税金の限度額が変わります。納めた税金が返ってくるという制度なので、自分自身で税金を納めていない方は対象外となります。
新型コロナウイルスの影響で、収入の減少が見込まれる方もいらっしゃると思うので、今年度のおいてはこれが一番の注意点になるかと思います。
寄付金の上限については、下記のサイト等シミュレーターがあるので、こちらを利用すると金額の目安が算出できます。
ふるさと納税の制度は、2020年1月~12月の所得に応じて、2020年1月~12月までに寄付を行った金額が、控除対象となります。
大体、シミュレーターを利用すると、年収を聞かれますが、2019年の実際の年収で回答を行うことが多いと思います。2020年の年収が2019年の年収を下回ると、本来の上限を超えて寄付をしてしまう可能性があります。そうすると超過分は戻ってきません。今時点で影響がわかっていればいいのですが、2020年のまだ5月の段階なので、今後の給与カット、残業の抑制、ボーナスの減少の可能性がある場合には、慎重な対応が必要です。
解決策
解決策は簡単で、あまり先走って寄付しすぎない、ということになります。
通常の会社であれば12月の最終給与あたりで、源泉徴収票をもらえると思うのでそれをベースに寄付を行えば無駄なく対応が可能です。
ただ、12月に源泉徴収票をもらってから、寄付を始めると欲しいものが無くなっている可能性もあるので、前年の年収をベースに上限を算出し、その7割~8割程度を寄付しておいて、最後12月に金額確定してから余りを埋める、というのが現実的かと思います。
もちろん、昨年の年収から減ることはない!という方は、がんがん上限まで寄付して問題ありません。
確定申告が面倒
内容
ふるさと納税は、税制上の『寄付金控除』というものに該当するため、原則確定申告を行うことで、税金の還付を受けることになります。確定申告というと面倒くさそう、税金のことよくわからないし。。。
解決策
この解決策は、大きく分けて2つあります。
①ワンストップ特例制度を利用する
ワンストップ特例という制度を利用すると、確定申告を行うことなく寄付金分を取り戻すことが出来ます。
ただし、この制度を利用するにも2点注意事項があります。
(1) 寄付をした自治体が5つ以内であること。同じ自治体に複数回寄付しても自治体の数自体は1としてカウントされるので、いろんなものを取り扱っている自治体に寄付すれば5自治体におさめつつ、例えば10回寄付を行うことも可能です。
(2) ふるさと納税以外の目的で確定申告をしていないこと。
確定申告をしないためにワンストップ特例を利用するのでは?と思うかもしれませんが、例えば住宅ローン控除の適用初年度は確定申告が必要になりますし、医療費控除を利用する場合も確定申告が必要になります。これらのために確定申告を行った場合、ワンストップ特例制度は無効になるので、寄付金控除分も確定申告を行う必要があります。
ワンストップ特例制度を利用する場合、寄付をする都度各自治体宛に手続きを行わないといけないので、確定申告を行うほうが簡単だと思います。
解決策の2つ目は、そのまんまですが確定申告を行う、ということになります。
②確定申告を行う
確定申告、やったことないと不安かもしれませんが、今の時代確定申告についてレクチャーしてくれるサイトはたくさんありますし、わからないところは税務署で聞けば無料で教えてくれます。
確定申告のためにまずやらなければならないことはたった一つです。
それは、寄付先から届く『寄附金受領証明書』を忘れずに保管しておく、ことです。
いざ確定申告をしようとして、この寄附金受領証明書が無いと何もできません。大体寄付してから1週間~1ヵ月くらいの間に届きます。
返礼品とは別タイミングで送付され来るので、見慣れない自治体からの書類は捨てないようにしましょう。
複数の所得控除、税額控除が絡み合っててわかりづらい
内容
ふるさと納税による税金の軽減は、税金計算上、『寄付金控除』と呼ばれるものになります。
税金を減額するものとしては、他にもたくさんあり、私個人だけでも、
・扶養控除(=配偶者の所得が少ない場合)
・寄付金控除(=ふるさと納税分)
・医療費控除(=10万円以上医療費がかかった場合)
・小規模企業共済等掛金控除(=ideco利用分)
・ローン控除(住宅購入の借入金がある場合)
と5種類以上の控除が適用されています。
これらは相互に作用することになるので、金額の把握を行うのがかなり難しいです。
解決策
具体的な解決策にはならないかもしれませんが、下記のような詳細版のシミュレーターで計算してみるのがよいかと思います。
楽天ふるさと納税 詳細版税金シミュレーター
具体的な金額例としては、こちらのサイトが参考になりますが、年収500万前後で、住宅ローン控除が30万前後あると、ぐっ、と寄付金上限が下がります。
複数の控除が税金を食い合う形になるので、無駄なくやるためには詳細シミュレーターの使用が適しています。
先にお金が出ていく
内容
読んで字のごとくなんですが、2020年度のふるさと納税制度の適用を受けるためには、2020年12月31日までに、決済を完了する必要があります。クレジットカードを利用すれば、出金時期を2021年の2月くらいまでは延ばせるかもしれませんが。
一方、2020年12月末までに寄付した分の税金控除は、2021年6月~2022年5月にわたって、住民税の支払額が減額されます(会社員の場合)。
そのため現状手許現金が少ない方は、戻ってくるまでに結構時間がかかるという点に留意して取り組む必要があります。
解決策
先にお金が出ていくという部分については、解決策はありません。そのため、ふるさと納税に回すお金が無い、という場合は、まずある程度貯蓄をする方が先かと思います。
どうしてもという場合には、政府から支給される特別給付金を充当するという手はありそうです。そこまでお金が無いというケースだと、そもそもふるさと納税の恩恵を受けるほどの収入があるのか?という点も確認した方がよさそうです。
減税効果が測定しづらい
内容
一つ上の項目でも説明しましたが、2020年12月末までに寄付した分の税金控除は、2021年6月~2022年5月にわたって、住民税の支払額が減額されます(会社員の場合)。
所得税の還付請求をした場合は、指定した銀行口座に振り込まれるため、減税の効果がはっきりと認識できます。
一方で、住民税は毎月の給与天引きされる金額が少し少なくなるという反映の仕方になるため、実際に手元にお金が戻ってきたという実感が湧きません。
解決策
この問題については、下記の画像にあるように、『住民税の特別徴収税額の決定通知書』を確認することで解決が出来ます。
会社員の方は、毎年6月頃に「住民税の特別徴収税額の決定通知書」を会社から受け取るかと思います。住民税の決定通知書は、前年の税金計算が完了したので、『各月この金額をこれから控除していきますね』というのを教えてくれるものですが、その計算過程として、どれくらい所得があって、控除がどれくらいあったか、というのも記載されています。
画像の引用元:税金の知恵袋
税額控除欄の金額が寄付した金額 と近しければ、概ね問題ないです。2,000円の差が生まれるのと、一部所得税部分から減税される可能性もあるため、完全に金額が一致するとは限りません。
ここの欄に金額が入っていないようなことがあれば、税金が戻ってきていないことになります。
住んでいる自治体からは返礼品がもらえない
内容
自分が住んでいる(=住民票上の)自治体に寄付を行っても返礼品はもらえません。
これは、自治体側の立場に立って考えるとわかるのですが、そもそも住民でない方に寄付していただくことで、自治体の税収を増やすことを目的としているため、既存の住民に返礼品を上げてしまうと、単純に返礼品分が持ち出しとなってしまうためです。
下記は、楽天ふるさと納税のよくある質問 から抜粋したものです。
『基本的には、』と書いてあるので、もしかしたら住民に返礼品をくれる自治体もあるかもしれませんが、期待しないほうが良いかと思います。
解決策
多くの方が、欲しい返礼品を見つけて寄付を行うかと思うので、寄付を実行する前に寄付先の自治体が自分の住んでいる自治体では無いということを確認すれば解決ですね。万が一自分の住んでいる自治体であった場合は、他の自治体の返礼品を探しましょう。
都市部に住んでいる方は、特に悩むこともないかと思いますが、魅力的な返礼品を用意している自治体に住まれている方は、要注意ですね。
リピート注文不可の自治体がある
内容
これは先ほどの画像の下側が該当するのですが、一番困るのは寄付は何度でも行えるが返礼品は一度まで、という自治体も中にはあります。
解決策
同じ自治体に複数回寄付をすることが無ければ、特に問題にはなりません。なので、次の項目でも記載していますが、どの自治体にいくら寄付したか、何が送られてくるか、というのを一覧化しておくと便利だと思います。
ただ、リピート注文可能な自治体の方が多い印象があるので、同じ年に同じ自治体へ2回目の寄付を行う場合は、返礼品が貰えるか、注文ページをよく確認するようにしましょう。最終的に注文ページで確認できなければ、自治体のふるさと納税担当窓口に問い合わせるのがよいでしょう。
返礼品の保管場所を考慮する
内容
これはふるさと納税という制度自体ではなく、頼む人の問題であり、ふるさと納税あるあるなのですが、ふるさと納税の返礼品が一気に届くと、かなりの量になり、保管に頭を悩ませることになります。
人気の返礼品としては、豚肉、牛肉等の肉類や、いくら、カニ等の魚介類がありますが、ほとんどの品が冷凍なので、コスパ重視で4kgの豚肉、2kgの牛肉、カニ、エビ、いくら、と調子に乗って注文していると同時期に返礼品が届いて、冷凍庫がパンクします笑
これは、私の実体験でもあるのですが。
冷凍品でなくても、メロンや梨、柿等も同じタイミングで来ると保管場所に困ります。
解決策
大体ふるさと納税商品の発送時期は、各注文ページに記載があるので、ふるさと納税の一覧をまとめるのがよいと思います。
『寄付先の自治体名、商品名、金額、領収書受領したか、保存方法、到着時期、商品を受領したか』
この辺りを一覧化しておくと、次年度以降も参考になるし、これから届く返礼品も可視化できます。
ふるさと納税の意外な利用法?
ここまで、散々注意点ばっかり書き連ねてきましたが、とにかくメリットの大きい制度でやらなきゃ損!というのは変わりません。
我が家が行っている利用方法で、あまり周りでやっている人を見かけないものを一つご紹介しておきたいと思います。
返礼品の送付先を自宅以外にする
中には、この方法を利用されている方いらっしゃるかもしれませんが、我が家ではふるさと納税の返礼品送付先を自分の実家や妻の実家にして、フルーツや海産物等を贈ったことがあります。
ただ、返礼品の中に自治体の紹介パンフレットが入っていることが多いので、お歳暮やお中元として贈るのはやや難があるかもしれません。
私の実家も妻の実家もあまりその辺のこだわりがないのと、ふるさと納税で元手がかかってない、と伝えることで、先方がお返しに気を使わなくてよい、というメリットがあり、受け手、贈り手双方が満足しています。
返礼品の送付先を自宅以外に指定したとしても、寄付金控除の領収書は寄付者である自分のところに来るので、減税効果は変わりません。
自分の親にまだ所得があり、ふるさと納税を行えるのであれば、やり方を教えてあげればよいかもしれませんが、お世話になった人に返礼品を届けるというのはありだと思います。
ふるさと納税制度の問題点
利用者にとっては、とてもありがたいふるさと納税制度ですが、客観的に見ていくと、いくつか問題点があります。
都市部から地方自治体への資金流出
参考までに、2018年度の寄付金受入金額が多い自治体ランキングを貼ります。
泉佐野市が圧勝ですね。まぁやりすぎたので、ふるさと納税の対象自治体から外され、現在裁判で国と争っています。金額順で並んでおり、1番上の泉佐野市が497億で、100億円以上の自治体が4つあります。個人的には、高野町、熊取町、行橋市あたりの受入単価が高い自治体は返礼品を設定しているのか興味ありますね。ただ、3割規制前の数値なので、今はもらえない返礼品である可能性が高そうですが。
一方で、流出額のランキングがこちら。
当たり前ですが平均所得が高いといわれている大都市圏の名前が並びます。東京が一位ではないので、ん?、と思うのですが、東京は23区毎になっているので、散らばってるんですよね。
個人的には、東京都港区すげー!という感想です。金額的には7位ですが、人数で割って1人あたりの単価を出すと港区が圧倒的1位だと思います。神戸市と比べて金額ほぼ一緒なのに人数半分以下ですからね。単価が約2倍違います。
1人当たりの控除額が多い=1人当たりの所得が多い、ということが言えますね。
少し話が脱線しましたが、住民税の20%を上限とする、という制限はあるものの住民税が流出するばかりの都市部自治体からすると苦々しく思っているはずです。
中間搾取の問題
ふるさと納税を利用されている方、これから利用しようかな?と考えている方、さまざまだと思いますが、ほとんどの方は総合ポータルサイトからの利用を検討されているかと思います。
楽天ふるさと納税、さとふる、ふるなび、ふるさとチョイス等々。
これらのポータルサイトへの手数料支払いが増大していて、ふるさと納税の資金が自治体以外に流出しているという問題もあります。一例としての記事はこちら
実際の経費の状況がどうなっているかというのがこちら
これを見るとわかる通り、寄付金のうちの半分以上はふるさと納税を獲得するための費用として消えています。もちろん返礼品の調達を地場産品で行えば、自治体内で費消されるので、流出しているとはいえないまでも、広報や事務にかかる費用で数百億が消えている、というのが実情です。
金持ち優遇制度である点
ふるさと納税については、所得が多ければ多いほど、寄付金控除の上限金額が多くなるため、高所得者の方ほど恩恵があります。もちろんその分税金を納めている、という意見はあると思いますが。
新型コロナウイルスの感染拡大に伴って、収入減少する方が増え、失業者が増え、景気が悪化し、というサイクルにはまっていった場合には、金持ち優遇制度は強い世論の反発を受けることが考えられます。
最後に
まとめ
まぁ、まとめといっても先ほどの注意点に気を付けて積極的にふるさと納税をしていきましょう!
ということになるのですが、お得な制度は常に改悪の可能性をはらんでいます。
ふるさと納税は寄付を受ける側、寄付をする側にとって良い制度なので、ある程度継続しそうに思えますが、制度の問題点で記載した通り、いくつかのひずみがあります。特に新型コロナの影響で経済が停滞すると、このふるさと納税制度にメスが入るかもしれません。
そうなる前に、とにかく使い倒しておくというのが最良の選択だと思いますので、今利用している方は継続して、まだ利用されていない方はさっそく始めましょう!!
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今までのブログ記事で最も長い記事になったかもしれません。長々とお付き合いいただきありがとうございました!!!
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